1.乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)とは

 乳幼児揺さぶられ症候群(Shaken-Baby-Syndrome:SBSと略。以下SBSと表記)とは、 乳幼児を縦抱きの状態で、前後に強く(激しく)揺さぶる際に、頭蓋骨の内側に 脳が何度もぶつかり、その結果、重大な脳の損傷を引き起こすことを言います。 予後は悪く、死に至るケースもあります。

 SBSの特徴は、頭部や顔面、頸部などの骨などに、なんら外傷を認めないにもかかわらず、頭蓋内出血と眼底出血を認めることです。

 SBSは、たとえ命が助かったとしても、脳性まひや、言葉の遅れ、視力障害、後遺症としてけいれん発作等をおこし、その後の子どもの成長に 深刻な問題を抱えます。

SBSが起こる要因?

 子育て中の親は、泣き止まない子どもにイライラしたり、腹を立てたりすることもありますが、中にはその状況において、泣き止ませようとして、強く揺さぶってしまい、子どもを重篤な状況に至らせてしまう場合も少なくありません。

 SBSは、次のような要因が複合的に重なり合って起こるといわれています。

あかちゃん側の要因:年齢、泣き止まない、強い欲求

養育者側の要因:孤独感、抑うつ、イライラ、初めての子育て体験

環境の要因:孤立、DV、支援リソースの少なさ

知識の要因:乳幼児を揺さぶる危険性の認識不足